槍は、中国武術で百兵之王といわれ最も強力な武器であると共に、最も技術の習得に時間のかかる武器といわれています。特に大槍は槍中之王と言われ、まさに王の中の王とされ重宝されてきました。
大槍は、昔の中国の戦争で最も重要な武器の一つでした。長いので日常的に携帯する武器ではなく、戦場の武器でした。時代や組織によって大槍の長さや材質は違いました。今の時代に残っている槍の門派もそれぞれ違った長さや材質の槍を使います。例えば楊家槍は、一般的に3.6メートルの白蠟で出来た大槍を使います。宋氏形意門では、3メートルから5メートルの白蠟の大槍を使います。沙家槍は、最長で11メートルの竹の槍を使います。
昔の戦場での使い方は様々でした。4 メートル以上の大槍は、大勢で持って並び陣形をつくって戦ったりし、2.5から4メートルの槍は、馬の上から使ったり地上に立って使いました。昔の多くの中国の武将は槍を使っており、岳飛は大槍に長けていたし、李全という宋代の武将は2.5メートルの鉄の槍を使っていました。個人戦では2.5メートルから4メートルの物が最も多く使われ、それ以上の長さになるとあまり実践的でなく好まれなかった様です。古代ギリシャには6メートルの槍もありましたが、個人戦では無用の長物とされていました。
大槍は貫通力が強く、熟練者なら盾や鎧も貫けました。但し、大槍に熟練するには多くの技術の習得が必要です。例えば、突く時に槍を螺旋状に回転させる事で貫通力を増大させます。それと同時に、槍は引きが大事と言われています。突いた後にできるだけ速く槍を引きもどさないと隙が出来、相手に近距離に入られてしまいます。出来るだけ速く槍を引き戻す事によって、素速く次の攻撃に移れます。しかし鎧を貫くぐらい強く刺すと、槍を抜き出すのが難しくなります。その場合も、出来る限り速く抜き出す様に心掛けていないといけません。突き以外にも叩いたり、払ったり、斬ったり、巻き付けたりと、色々な事が出来るのも槍の奥の深いところです。
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